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喫茶店に到着した二人は、彩音が充電できるスペースを探しながら、それぞれで別行動を取る事になった。
簡単に言えば、彩音がコンセントの差込口が近くにあるテーブルを探し、修市が二人分の注文をする為にレジに並ぶ事である。
「取り得ず、充電できる所で待っててくれ。注文は俺がするから」
「アイスコーヒーとチョコレートケーキ。シロップ二個とミルク一個な」
「分かった。金は後で頼むな」
「……出世払いで」
「出世したら俺とは違う班になるだろ」
「今、持ち合わせがない」
「……了解」
結局、奢る羽目になった修市は、渋々と列に並ぶ。
丁度、人が集まる時間帯に入店してしまったらしく、レジの前は人でいっぱいだった。
「うわ、最悪だな。こりゃ、暫く時間が……てか、この状況じゃ充電するどころか席に座れるかどうか」
時間帯を誤ってしまったなと、内心愚痴をこぼし、少しずつ移動しながら彩音の姿を追う。
どうやら、修市が危惧していた状態を回避したらしく、コンセントの差込口が近くにある席に座る事が成功したようだ。
席に座ると、充電器を差し込み、まるで準備万端といった表情で、列に並んでいる修市へと目を向け、親指を立てる。
(ラッキーだったな。隅っこの席であまり目立たない場所だ。あれなら、充電している所を見られずにすむ)
と、席の無事に確保し、ホット一安心した所で、修市の番となり、メニュー表に目を通すと、彩音に頼まれた品と、自身もまたアイスコーヒーを頼み、注文の品を受け取ると、足早に彩音が確保した席へと移動した。
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