夜の繁華街

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「ケケケ、馬鹿が!!」  突然、彩音と鎌鼬の両名の他の、別の声が聞こえる。  否、正確には、二つに裂かれた鎌鼬の下半身より、別の声が聞こえた。 「私達が何時っ!!」 「一人で行動していると言ったぁ!!」  今度は下半身だけでなく、上半身からも声が発せられ、未だ鎌鼬が健在である事をありありと知らしめる。 「ケケケ、勉強不足だったなぁ!!」  下半身より、黒い物体が跳躍し壁を蹴りながら彩音の周囲を飛び交う。 「私達は、個ではなく複数で行動する妖だ!!」  同じく、上半身から鎌鼬が飛び出すと共に、壁を蹴りながら式守 彩音の周囲を飛び交う。  上半身の鎌鼬は鋭利な鎌を、そして下半身の鎌鼬の手には鈍器が握られていた。  二匹の言う通り、鎌鼬とは複数で行動する妖である。  鎌鼬が分厚いコートを身に纏っていたのは、自分達が複数で行動している事を隠す為、そして、自分達を追ってきた、人間を襲った妖を駆逐する対策局の関係者に自分達の正体を掴ませない為のカモフラージュだったのだ。
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