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「それで萱野氏の何をお聞きになりたいのですか? お仕事の発注?」
「申し訳ありません。本日訪問の目的は個人的な内容です。私は萱野と交際しています。実は萱野が3週間も行方不明です。もしかして萱野の身に何かあったのかもしれません。それで最後に萱野と連絡をとったこちらで何か手掛かりがないかと思いまして、訪問しました」
箱崎社長は「へえ」と柳眉を逆立てた。
「いい大人の男なのだから、事件に巻き込まれたなんて考えにくいと思いますよ。事故ならどこかから情報は入るでしょう。あなたの目の前から消えたのは、本人の意思ではないですか?」
痛いところをズバリと指摘された。
さすがアントレプレナー。
無駄な遠慮はしないで、ハッキリ意見する。
「そうかもしれませんが、無事なら無事で安心できます。もし私からの連絡を拒否しているのなら・・・」
「私の電話は受けるかもしれませんね。掛けてみましょうか」
箱崎社長の頭の回転の良さが分かった。
「是非お願いします」
箱崎社長はスマホから電話を掛けた。
「・・・」
ずっと黙っている。
繋がらないのだろう。
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