138人が本棚に入れています
本棚に追加
“ヴー”
“ヴー”
どこか遠くで何かが唸っている音が聴こえる。
「・・・うるさいなあ」
私は不快に目が覚めた。
「フワァァァ・・・」
大きなあくびが出た。
半分まだ寝たままの頭の中。
枕元のスマホは朝6時にセットしていたアラーム音を鳴らしている。
『ああ、OFFにするのを忘れてた・・・』
私は手を伸ばしてそれを止めると、画面を見た。
「・・・」
何度も瞬きし、目を凝らしてみるが、待っている着信はない。
私はスマホを持ったまま、流しに向かった。
鏡の中には目の下のクマが憐れな、まぶたの腫れた女の顔があった。
「ひどい顔・・・」
最近仕事が忙しく、毎日遅くまで残業をしている。
昨夜の帰宅も日付が変わってから。
風呂に入り、寝たのは午前2時。
今は朝6時。
つまり4時間しか寝ていない。
寝付きも浅く、全身の疲れは全く取れていない。
その疲れが顔に出ている。
だが昨日でようやく仕事が一段落。
今日から有給休暇を一週間とる予定だ。
本当は恋人の萱野と一緒に過ごしたかった大切な休暇。
なのに、萱野は現在行方不明。
最後に連絡をとってから3週間が経とうとしている。
最初のコメントを投稿しよう!