僕の話

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 このまま大学に通って何になるんだろう、そんなことをよく考えました。 親父は地方公務員でしたから、僕にも同じように安定した職業について欲しかったんだと思います。でも、大学卒業して、生まれ育った町に帰って、市役所とか勤めて、戸籍係とかなっちゃって、中学とか高校の同級生が婚姻届だの出生届けだの持ってくるのを受けとって、自分も結婚して、子供作って、そんなことを考えると息苦しくなって地元に帰る気さえなくなってきました。 国公立や有名私立ならいざ知らず、どうってことのない大学のおまけに文学部ですからね。受験の時も何も考えていませんでしたね。就職のこととか、有利かとか、そんなことは考えませんでした。 大学くらい行けって言われたから、苦労しないで入れるところを選んだだけです。で、案の定行きづまったわけです。
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