僕の話

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右足がハイヒールにおさまった時、目眩がしました。部屋がガクッて揺れた感じがしました。車が急発進をしたときのような感じがしたんです。地震?すぐに蛍光灯のコードを見ました。でも、揺れていませんでした。気のせいだと思って足を見ました。 ハイヒールを見ました。なんか靴が小さく見えました。小さくなってるんです。もちろん錯覚だと思いました。酔ってるのかな、でも缶ビール一本も飲んでないし、疲れてるのかな、そう思いました。 そして、奇妙なことを発見したんです。 はいていたスウェットのパンツがくるぶしでダブついていました。乾燥機かけちゃったから短くなっていたはずなのに、くるぶしが見えていたはずなのに、何故? 僕はスウェットの裾をまくりあげました。右足、そして左足。 スウェットから現れたのは、僕の足ではありませんでした。きゃしゃで、白く、すべすべした脚が、真っ赤で、小さなハイヒールを履いていました。 僕は混乱していました。とりあえず、目を思いっきりつぶりました。五秒くらい思いっきりつぶってから、もう一度脚を見ました。そこにあったのは、やっぱり、きゃしゃで、白くて、すべすべしてて、すね毛の無い… そう、女の子の脚だったのです。
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