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今年の夏も、空には、相変わらずの綿菓子みたいな入道雲が、モクモクと広がっている。
さわさわと梢を揺らすのは、少しだけ秋の気配が混じった、湿気を含んだ生ぬるい風。
静かに立ち並ぶ墓標の中を、夏を惜しむかのようなヒグラシの、どこかもの悲しい鳴き声が響いてくる。
日が傾きかけた夕暮れ前の、人気のない墓地の一角。
毎年訪れている墓石の前で、
濃紺の浴衣に身を包んだ私は、抱えていたミニ向日葵とかすみ草の花束を供え、一人静かに手を合わせた。
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