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「カリン」
宗介さんに名前を呼ばれるのがすき。
宗介さんの声は汗をかいたグラスの氷が溶けておちるときみたいにカラリと響いて私を揺らす。
宗介さんを置いていかずにすんでよかった。
あまり口には出さないけれど、宗介さんは寂しがりやだから。
午睡から目覚めたとき、私がいないと宗介さんは機嫌が悪い。
「すべて夢だったのかと思った」
私の手をきつく握り締めてそう呟くから。
すぐそばにいるって信じて欲しくて、私はいつも目覚めたばかりの宗介さんに口づける。
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