怖い男

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私は、アサトの声にびくっと両肩があがった。 その途端、一気に部屋には冷やりとした空気が流れた。 最初のころ普通に話しかけにくいオーラはたってたけど、私のコミュニケーション能力が優れているから、すぐにため口聞いて普通に仕事で話していたのに。 『えーなにこの人‥…。めちゃこわいんだけど』 でも私だって、好きでこんな声になったんじゃない。 新しく付き合っていたモデルの彼氏との飲みに付き合わされて、喉が少し焼けてしまっただけだ。 「え、何?そんなに怒んなくてもよくなーい?ちょっと喉の今日調子悪くて…。好きでこんな声になったわけじゃないんだけどさ。そんな練習でピリピリする必要ってある?」 昔から、大して努力しなくても、楽譜は読めるし、周りに合わせて歌うことができた。 訓練だって余裕で誉められてるし。 「ねえ?」 と、近くにいた新人女子マネージャーのもとちゃんに同意を求めた。でも、もとちゃんは おろおろと落ち着かずに、周りの顔を見て、うなずくことはない。
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