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「ボーカル変えてもらうように、社長に伝えてください」
アサトはプロデューサーにそんなことを言って、何事もなかったかのようにベースの音を鳴らした。
「始めるぞ…」
私抜きで、音をみんな合わせ始めた。誰も意気消沈している私を見てくれなかった。大丈夫かどうかの言葉さえ、かけてはくれない。
なんで、みんなアサトの言いなりなの?
「私のどこが悪いっていうの…」
まるで、就活の時のように、誰も私を見てくれない、興味も持ってくれない、守ってくれない。
あまりに、周りと自分の熱量が違い過ぎる。
「めんどくさ…」
あれ私、なんのためにここにいるんだっけ?
アサトの高圧的な態度や言葉は、いつもの楽天的な脳を破壊するような勢いだった。
「怖…」
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