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 薄暗い部屋の入り口に、大人の背丈程に生育したエバーフレッシュが置かれている。  玄関には赤いスェードのパンプス。  ……どこかで見覚えがある。  間接照明だけで照らされた長い廊下を進むと、突き当りに広いリビングがあった。  いくつかの観葉植物と、真四角のローテーブル。  それを三方向から囲むようにして置かれた革張りのソファ。  リビングから繋がる奥の部屋に人の気配を感じた。  身体はまるで吸い寄せられるかのように部屋の入り口に向かう。  近付くと女の息遣いが聞こえてくる。  それが何を意味してるのかを、頭は直ぐに理解した。  ドアをするりと通り抜け中に入ると、不快な熱気にじっとりと汗が滲んだ。  ベッドの上で若い男女がもつれあうようにして融合する姿が目に映る。  紺色の模様に埋め尽くされた男の身体に白い四肢を蛇のように絡ませ、女は少しでも深く感じようと艶かしく腰を押し付けている。    悦楽に顔を紅潮させる女とは裏腹に、男は患者を診る医者のような目で女の痴態を見下ろしていた。
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