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部屋のドアを開けて、自分の他に誰もいないことを確認し、夢の産物で汚れた下着を脱ぐ。
シーツも何もかも洗濯機の中に押し込んで浴室に入ると、熱いシャワーをかぶった。
自分の身体を鏡に映す。夢の光景とあの感覚が鮮明に蘇り、下腹部が熱くなる。
……罪悪感で泣きたい気分だった。
俺には望(ノゾミ)という双子の姉がいる。
望は朝フラワーショップで働き、夜は男に身体を売る。
愚かとも取れる間違いを犯し、入院する程の怪我と多額の借金を抱えた俺を助ける為に、望は自分を犠牲にしていた。
夜の世界とは縁も無さそうな、可憐で清楚な装いと優しい笑顔。
望は俺を責めるどころか、いつも元気付けようと明るい笑みを作る。
その裏側にどんな想いがあるだろう。傷が癒えるまでの間望の優しさに甘えながら、俺はいつも考えていた。
時々、望はシャワーを浴びながら声を殺して泣く。
望はそれを俺に気付かれていないと思っていたけれど、顔を見ればすぐにわかった。
ひとりで堪え続ける望を見るのは辛かった。
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