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琉平とおとんがふざけ出した頃、玄関のチャイムが鳴った。
琉平は、一目散に玄関まで走って行って、おとんも、おぉ来たか、みたいな軽いテンションで玄関まで行ってしまう。
なんでそんなさっさと行けるん!なんて思いながらも玄関に向かえば、知ってる顔が二つあった。
「え、先生ときみ?」
「うそ、渋沢くん?」
知ってる人なら、話が早い。
適当にあがって貰って、お茶を出す為に台所へ。
高校の担任がおとんの再婚相手で、その連れ子が親友。
琉平よりもテンションがあがってしまいそうな俺は、落ち着こうとため息をつく。
「渋沢くん、今ええ?」
「はい。」
ゆっくりと先生は俺の隣に立って。
目が合うと微笑んで、ごめんな、と言った。
なにがごめんかはわからない。
だけど色んな意味が込められてる気がして、目が離せなかった。
「なにが、ごめんなんですか?」
「急に結婚決めたこと。嫌やんな、学校の先生がおとんの再婚相手で。今な公孝も葛藤してんねん。親友が兄弟なんねやーって。よく話はしてくれててん。ひながあんなことした、こんなことしたって。それな、すっごい嬉しいねんで。だから、これからも仲良おしてやってな。」
ふわり、と笑う先生は、なんだかいつもの先生らしくなくて。
綺麗、だと思った。
「俺、先生がおとんの再婚相手で良かった。ってか俺やって葛藤しとるし。あんな頼りないのがうちの長男なるとか、ほんま心配。だけど、仲良おすんのなんて、当たり前やん?俺はこれから、あいつの一番の親友で弟で、家族になったんねん。」
わざとらしく鼻息荒くしてみると、先生は嬉しげに笑ってくれて。
あぁ、おかんってこんなやったっけ?なんて思い出した。
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