プロローグ

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 ノックの音で意識が覚醒した。  反射的に返事をして、ドアを開けようとする。  そして、気付いた……  ドアの向こうにいる気配……  それは知っているものだった。  しかし、それは……  それは、決して感知してはいけない気配のはず。  理解すると同時に総毛立つ……  震えが止まらない……  何度目かのノックの後……  鍵がかかっていない扉はゆっくりと、軋みを上げて開いていく……  目の前には老紳士がいる……  知らず知らずのうちに一歩、一歩、足が後退していく。  なぜ?  なぜ、いまになって現れる?  老紳士が手招きをしている。  行けない……  そちらへは行けない……  背中に何かが当たった。  いつの間にか反対側の壁まで下がっていた……  老紳士は……?  もう……目の前にいた……                  ・
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