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「早く秋にでもならないかなぁ……」
若年寄のようにため息を次々につき、ぼんやりと川のほうをみる……
すると……
「えっ!?」
目の前にきらめくものが頭上に広がってきている。
「わっ!!!」
すぐ脇に置いていた上着でとっさに大事な大事な本を守った。その瞬間、ザバッと水が彼の全身を襲った。
「あっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
「ぺっぺっ! こら! リーアなんてことするんだ!」
「そんな所で年寄りみたいに休んでるからだよ!」
ごつごつした岩が目立つ岸辺から上半身だけ出し、彼女がいたずらっぽくこちらを見ていた。
「アレスゥ、早くおいでよぉ!」
と、彼女の横で水の盛り上がりが急に出来た。
え?って顔を彼女がした瞬間、自ら飛び出てきた黒い物体がリーアの姿を水の中へ引きずりこんでいった。
「あ~あ……」
その様子をアレスは顔をしかめながら見ていた。
「ぷはっ! ちょっと、あんた達! いい加減に!」
頭だけ水中から出し、彼女は少し怒ったように言うがそんなことなど、彼らからしたら関係のない話だ。
次から次へと水のなかから、黒い影が彼女へと迫っていく。
「もぉ!!! いい加減にせい!」
リーアはそう言うと、瞬間的に力を解放させた。
左目の紅い紅い瞳がさらに紅く輝き、彼女のいる水面が一瞬へこむかと思うと勢いよく彼女の体が自ら飛び出した。
得意の念動力によるものだ。力場を水面に掛け、自身の体を瞬発力だけで引き上げたのだ。
彼女は空中で1回転すると、近くにあった岩の上にストンと着地する。
来ている服がぴったりと体に密着しているおかげでラインがはっきりと見える。
2年前よりも、体型が女らしくなりくびれなどが出来だしている。
しかし、一部発育不足であるのは否めないのが少し残念なところだった。
「こぉら! お前達! あたしは休憩するって言ったでしょ! あんた達と違って、水中を自由に動けないんだからね!」
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