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魔具はとても高価なものだ。
レベルの低い魔導士ではとてもじゃないが、魔具を作りだすなど出来はしない。ある程度高い魔導技術と、魔具を作るための専門的な知識がどうしてもいるのだ。
レベルにもよるが魔具技師は国の宝とされているところもある。
クラティナの腕前は……低く見ても一流だった。
普通の技師が一ヶ月かかる仕事を1週間もあればこなしてしまうだろう。
さらに修理だけではなく、自分自身の設計による新たな魔具まで作れる。
今の所、村自体が辺境にあり、そう言った物事に皆疎いため、村の便利屋さんという感じで扱われている。
だからというわけでは無いが、この村には高価なはずの魔具が数多く存在している。それも、他の国にはないような新しい規格のものもあるのだった。
「お前が魔具の事を仕事にし出して3年か……」
そう言うバレンの表情は微妙に硬い。
もし、彼女の技術が国の中央に知られるとどうなるだろうか?
通常ならば、名のある魔導士は国に登録され管理される。二人は元々この国の人間ではないし、クラティナも正規の魔導士としての登録をしたことが無い。なので、普通に考えれば辺境でそんな話があったとしても、プライドが高い中央がそれにすぐに取り合うとも考えられなかった。
「そういえば、二人は何処に行ったんだ?」
姉リーアならともかく、弟のアレスもまた母にいて魔具が大好きな少年だった。
暇があればクラティナの手助けと一緒に店にいることが多いんだが、その気配が一切なかった。
「わからないわ。リーアに朝一から引っ張られていったきり……」
彼女はどこか諦めたかのように肩を落としていた。
「あ~……なるほど」
いつものことか……とバレンもため息をついた。
どうせ、二人は森の中。
それも、このくそ暑い気候の中だ。川にでも遊んでいるのかもしれない。
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