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副隊長から出た言葉に王の顔が歓喜に歪んだ。
「なに!それはまことか!」
「はっ!いつでも発動可能となっております!」
と、そこで副隊長の顔が困ったようになる。
「しかし、魔力供給にあたった魔法師は魔力が枯渇しており今は発動できるものがおりません」
「おるではないか、ここに」
王は少し離れて控えている杖を持った人物へ顔を向けて言う。
言われた人物は王へ体をむけ言った。
「僭越ですが、宮廷魔法師たる私がそのような事態の場合に王のそばにいないのは危険です。ほかの魔法師を待つべきかと」
宮廷魔法師なるものは王へ反論するが、王のそばに控えた人物が被せるように言った。
「私にその役目を!お父様!」
「王女よ、王族であるお前がいく必要はない」
どうやら王女らしい人物は食い下がる。
「王族も何も関係ありません!私にもできるのですから、やらしてください!」
食い下がる王女を見てさらりと王は言う。
「ふむ、まあよい、魔法陣を発動させるのはお前だ」
王女が顔を輝かせて言った。
「ありがとうございます!お父様!」
満面のえみを浮かべて王女が副隊長へ近づく。
「案内をたのみます」
王女が頼み出ると男はたちあがり言った。
「ついて着てください」
副隊長と王女は王へ一礼すると扉から出て行き、魔法陣とやらを発動させるために歩きだした。
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豪奢で長く続く廊下を再度移動して王女は目的地へと着いた。
王女の目の前には玉座のあった場所には劣るが大きな扉がある。
中央には円形に様々な記号などが彫られていて、その彫刻がいまは淡く輝いていた。
これが所謂魔法陣というやつである。
「これで...この世界は救われるのですね...?」
魔法陣にてをあてながら王女が言った。
背後で控えた副隊長は王女の不安を吹き飛ばすように言う。
「きっと、きっとそうですよ」
自分を励ましてくれた副隊長をみて王女はほほ笑んだあと、凛とした表情で魔法陣へと向き直る。
両手を広げて魔法陣にかざすと、言葉を紡いだ。
「『勇者召喚』」
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