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ハルが近くにいたおかげで助かったとほっとするリノだが、そもそもハルが近くにいなければ、とばっちりを食うことすらなかった事実には気付かない。
「そーですねー、それならやっぱり、そろそろ皆と合流した方がいいかもですね。なみだ姐だって、そんなにバンバン天候魔法連発できるわけじゃないですもんねー」
なみだの魔力は、他の魔導師の比ではない。一般の魔導師が使う魔法は、魔力を増幅する魔装武器を媒体とし、己の魔力を炎や氷、電気などに変換して放つものである。
それとは異なり、なみだの魔法は天候を操るのだ。同じ電撃系の魔法であっても、単純に魔力を変換しただけのものと、本物の雷を落とすもの。どちらが強力かは言わずもがなだ。
もちろんその分、使用する魔力の量は何倍にも膨れ上がるが、それをいともたやすく行えるだけの魔力をなみだは持っていた。
「実は自分も、尻尾切る前に一発貰っちゃったんですよねー」
ハルの言葉に、なみだの眉が動いたのをリノは見逃さなかった。
リノは無言で瀕死のドラゴンと距離を取る。同情するような相手ではないことはわかっていたが、それでもこのドラゴンに同情せざるを得ない。
「ご愁傷さま…………っすね」
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