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「隙ありっす!」
突如、ドラゴンの側面から目にも止まらぬ速さで一人の男が飛び出してくる。男は動きやすそうな深緑色の軽鎧を身に纏い、その両腕には三日月のような形をした刃、一対のシャムシールが握られていた。
双刃から繰り出される連撃は、一つ一つの威力は弱いが、同じ部位に何度も太刀筋を入れることで、あっという間にドラゴンの黒い鱗を削り、遂には真っ赤な体表まで辿り着く。
「これでとどめっすよ!」
前肢に神速の太刀を受けたドラゴンの体制が崩れる。手練れの双刃使いの男が、その隙を見逃すはずはなかった。よろめいたドラゴンの前肢に向けて、会心の一撃を加えようと双刃使いの男が重心を落として構えをとる。
そのままドラゴンの前肢を切断しようと飛び出し、刃が真っ赤な体表に届くかと思われた瞬間、ドラゴンのもう片方の前肢の爪が、双刃使いの男の鼻先数センチをかすめた。
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