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グガァァアアアアアッ!!
前肢をところ構わず振り回していたドラゴンが、悲鳴のような咆哮と共に大きく身体を仰け反らせる。
見ると、大木のようなドラゴンの尾が、根元からバッサリと切断されていた。
ドラゴンの尾を切断したのは、燃えるように赤く重厚な鎧を纏った男で、たった一撃で尾を断ち切ったその男の刃は、身の丈はゆうに越そうかという大剣だ。
撃剣使いの男は、尾を切断した勢いでそのまま双刃使いの男に駆け寄ってくる。
「リノさーん、そっち手伝いましょーかー?」
口調は丁寧だが、妙に軽い言葉遣いである。
「や、まだ体力は残ってるんで大丈夫っす。ハルさんはワイより他の人のお手伝いお願いするっすよ」
もちろん、リノの言葉は強がりで発せられたものではない。リノだけでなくこの撃剣使いの男、ハルもわかっていることだが、まだこのドラゴンが最後ではない。むしろ、たくさんの体力を温存しておく必要があるのだ。
「了解ですー。でも、そろそろなみだ姐も終わる頃だと思うんですよねー」
丁寧な割に軽いハルの口調は、初めて話す相手からすればかなり軽薄に聞こえるが、ハルが誰よりも仲間思いだということをリノはとてもよく知っている。
それだけ長く、そして厳しい戦いを共に潜り抜けてきた。お互いに、相手のことを強く信頼しているのだ。
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