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「二人とも、そこにいると危ないわよ」
直後、ドラゴンの背中に巨大な雷が落ち、その衝撃波にリノとハルの体が宙を舞う。
ひっくり返った二人に悠然と歩み寄るのは、丁寧に編まれた紺碧のマントに身を包んだ、中性的で整った顔立ちの魔導師だ。
「あら?どうしてひっくり返ってますのん?」
不思議そうな顔で二人を覗き込む魔導師の声は、その中性的な顔立ちや、女性のような話し方とは裏腹に、芯の通った男性の声だ。
「…なみださん、この距離で天候魔法使う時はもっと早く言ってほしいっす」
「…てゆーか、なみだ姐の実力なら普通に電撃放つだけで充分だろーに、なんでわざわざ雷撃使うのさ?」
なみだは二人の言葉に、はて?と首を傾げながらしばらく考えていたが、その口から放たれた言葉はいたってシンプルなものだった。
「…面倒くさかったから?」
起き上がる気力を完全に削がれた二人だったが、いつまでもひっくり返っているわけにもいかず、しぶしぶと立ち上がる。
巨大な大剣を振り回すだけあり、そこそこ身長のあるハルよりも、さらに頭一つ飛び出ている長身のなみだが、どこか痛めてる所はないかと体を動かして確認する二人を見下ろしながら口を開く。
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