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「それと、二人だけで仲良くお話ししてたようだったから(はーと)」
背筋に先程の雷撃以上の衝撃が走った……ような気がして、リノの体が硬直する。額からだらだらと流れ落ちる汗が止まらない。本能が逃げろと言っているのに、指一本動すことができない。
こちらを見つめるなみだの目から、視線を反らすことができない。完全に目が座っている。慈愛の女(?)神のような笑顔と語尾のはーとまーくが恐怖感を更に煽り、このまま気を失ってしまうかと思われたリノの横で、ハルが平然となみだに告げる。
「何言ってるんですかー。自分がなみだ姐のこと除け者にするわけないじゃないですかー。あ、それで怒ってたんですかー?もう、自分がなみだ姐のこと大事に思ってるの、知ってるじゃないですかー」
もちろん、ハルの言葉は本音だ。リノは知っている。ハルが誰よりも"仲間"を大事に思っていることを。だが、なみだからすれば、"大事"に思われている、そのことの方が重視される。
「二人ともごめんなさいね。私もこのレベルのドラゴンになると、普通の魔法では一撃で動きを止めるのは難しいですのよ」
とりあえず危機は去ったと、リノは胸を撫で下ろす。なみだの実力であれば、先程ハルが言ったように普通の魔法でもドラゴンの身体を再起不能にすることは容易だろう。それだけの力をなみだは持っている。リノがなみだの強力な魔法の巻き添えを食わずに済んだのは、なみだが近くにいたハルまで巻き添えにすることができなかったからだ。
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