禿げ屋敷にて

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 禿げた方は好みではありませんが、この執事の禿げだけは胸がときめきます。魅力のある禿げを持つことができるのは限られています。  自らの禿げを認め、受け入れ、共存していくのです。それこそが、素晴らしい魅力の種だとわたくしは思います。 「マヤー、あなたも一緒に食べるわよ」 「はい」  お嬢様に呼ばれて、すぐにテーブルに向かいます。  ふと見上げた先に、光輝くものがありました。二階の執務室でちらちら光るそれは、旦那様です。  あら、そういえば……旦那様は禿げを治すように、など口にしていません。相手に強要しない寛容な旦那様は、うっすらと頭皮が寂しくなったような気がします。  なんとかしようと頑張る恥ずかしがりなちょい禿げ旦那様は可愛いです。愛らしいお嬢様に萌え禿げそうになりながら、執事の禿げ具合にときめきつつ、わたくしはお屋敷に勤めています。  今日はとても、いい天気。光る頭皮が目に眩しいです。
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