case1.青山結衣 13歳

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コンコン 「入るわよ」  そう言って病室に入って来たのは、看護師の彩香さん。 「おはよう。あれ?結衣ちゃん何か良い事あった?」  彩香さんはそう言うと、いつもの作り笑顔を浮かべた。  別にそれを責めるつもりはない。  むしろ、そんな彩香さんを私は好きだった。  他の看護師はみんな良い人振っていて嫌い。 「はい、よろしく」  そう言いながら彩香さんが差し出した体温計を左脇に突っ込み、空いた右手でさっきのカードを彩香さんに掲げて見せる。 「見て!リミットカード」  そう言って自信満々、自慢気な声を上げた私に彩香さんは、 「本物?」 と、驚いた様子も無く首を傾げた。 「分かんないけど多分。だって、いつの間にか枕元にあったし……」
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