第1夜-闇からの呼び声-

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カチャ…。 お父さんが遠慮がちに扉を開け、私たち一家は気まずいながらも部屋に足を踏み入れた。 ──広い。予想以上に広い部屋だ。 豪華さも先ほど通ってきた廊下やホールと何ら変わりない。 でも予想通り居心地悪いな! 何だこの空気は! 多人数の割にお通夜みたいにシーンとしちゃってさ! 人々の視線が容赦なくグサグサ刺さりつつ、奥にぽつんと空いていたソファーに腰掛けた。 「…これで皆様、全員揃いましたね」 扉の近くに座っていた中年の女性が立ち上がって口を開いた。 年齢は40代後半くらい、カナ? 上品な着物姿や立ち振る舞いにポケーッと見とれる。 「一身上の都合により、わざわざ遠くからご足労願ってしまって申し訳ありません。長旅で疲れていることでしょうから、今日はゆっくり休んで下さいませ」 「あの、でも、こうして親戚一同集まったと言うことは、やはり…」  ・・・ 「今日は、どうぞごゆっくりお過ごし下さい」 にっこりと微笑む女性。 女性の左斜め向かいに座っている男性が挙手し、発言しかけた時、女性はそのセリフを何か有無を言わせぬ力で制した。 ……なんだ、今の胡散臭い笑顔。何かすげー怖かったぞ。 つっこんだらお終いのような気がしたので、顔には出さない。 一方、口を挟んだ男性。 やはり何か感じ取ったのか、少しだけ顔を引きつらせながら、 「は…はい」 と返答。 「それでは、詳しいお話しは明日の朝10時頃にまたここに集まってからにしましょう」 そして立ち去ろうと部屋の扉に手をかけた女性は、言い忘れたようにまた言葉を発した。 「そうそう、お子さん方はこのお家、気になるでしょう?どうぞ、今日の夕食までご自由に探検なさって下さい」 その言葉を聞いて、幼稚園児位の子や小学校低学年位の子はわあっと喜ぶ。 「紅亜も行ってきたら?」 「お母さん、私もうそんなに子供じゃないんだからね!……まあ、でもこんな豪邸に入る機会なんて、そうそう無いし、気にならないって言ったらウソになるんだけど……」 最後の方はごにょごにょとしか言えなかったが、お母さんとお父さんは笑顔で泊まるお部屋に荷物を置いたら行ってきなさい、と。 だ、だから違うってば! 別にお屋敷の中なんて見なくたっていいんだからね! …と、新手のツンデレになってみる。
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