嫉妬と優越感

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端から見ると、じゃれ合っているようにしか見えない。 その様子をファンの子たちやほかの学生は微笑ましそうに眺めていた。 浅野と及川の攻防は予鈴がなるまで続いた。 及川が予鈴だ、と立ち止まったときに、浅野は胸ぐらをつかみにかかった。 しかし、それに気が付いた及川は攻撃を避け、浅野の手首を掴んで引き寄せた。 次の瞬間、浅野の耳元で及川は何かを囁いた。 囁かれた浅野は赤くなった耳を手で隠しながら、サッと及川から距離をとった。 その様子に満足した及川は残りのクッキーをさっさと片付けると、顔が赤いままの少し不機嫌な浅野と連れ立って教室へ向かったのだった。
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