プロローグ

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 彼女の名前『紅崎赤子』という名前が切っ掛けだったのだと思う。  生まれたての赤子に見た目そのままの代名詞を何も捻らず字面そのままに読みを『あかこ』と読めば漢字は『赤子』とつけることに何の抵抗のない両親が込めた未来ある子供への思いだとか。僕が青春時代にドはまりしたゲームのヒロインの名前に色を変えれば当てはまるんだけどとか。そもそも名字からしてけっこう中学二年生が憧れてそうな字面してるよなとか、わりとそんなことを考えたことが多々ある。当時はまだ他人だった僕は彼女の名前を知ってからそんなことをぼんやりと思ったが、今思えば彼女はその名にそれなりに悩んだかもしれないのに失礼なことだったと思う。  姓名あわせてどっからどうみても世に言うキラキラネームだろうから仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが、そんなことを口に出してたら当時の彼女は泣きながら僕を駄々っ子がじゃれるような乏しい勢いで叩いてくるかもしれない。あくまで想像だが。  でもその特異な名前がきっかけで僕らは知り合うことになったのだからそれを変な名前だともバカにできない。  何故なら、端から見た場合に彼女が名前以外は全くの特徴のないどこにでもいそうな上に地味な女の子で、しかもしかも生粋のコミュニティ障害だったのだから。彼女の名前があっても「あんなやついたっけ?」で流れかねないような地味でコミュ障の彼女と今の僕の関係があるのは、僕が当時ドはまりしたとあるゲームのヒロインの名前が彼女の名前の色違いだったのであり得るはずのない二次元ヒロインとの名前以外の共通点がないものかとバカな期待を胸に彼女に目を向けたからである。  ちなみに、それなりに仲良くなってから改めてじっくりと彼女を観察してみたが彼女とそのヒロインの共通点はおっぱいが大きいことくらいしかなかった。
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