プロローグ

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 彼女は初めて言葉を交わした頃、彼女は出会った頃、勉強ができず運動も苦手な上に小学校からの親友という障害がなければボッチを極めるくらいには人望もない女の子だった。それは僕を「いつか二次元に飛び込んでこの女の子のおっぱいに顔から突っ込んで窒息死するのが夢だ」と言わせたあの二次元の女の子とは真逆の人間だった。  大学の新歓コンパから1ヶ月以上経っていた頃に初めて名前を聞いてから興味を持って声をかけた頃にはゴールデンウィークのもう手前、今さら声かけるのかと友人連中には呆れられたものだったが、そのおかげで前述のことを知ることができた。タイミングってやつは気が乗ってたらいつでもいいものなんだとこの時の僕はいい気になったものだ。  閑話休題。  とにかく、最初はかなり困った風だった彼女とも夏休み前には逃げられることもなくなり、夏休みが明ける頃には普通に言葉を交わせるようになり、秋になる頃には彼女をじっくり観察しても怒られなくなり、クリスマスには門限八時という制限付で遊びにいったりとだいぶ仲良くなっていた。その間に友人連中やら彼女の親友やらにだいぶ囃し立てられたりで彼女は度々泣きそうになっていたが大学の二年目になる頃にはもう困ったような笑顔を浮かべるだけで泣きはしなかった。  あと大学の二年目になる頃には僕との距離がだいぶ近くなっていた。  出会ったばかりの頃はお互いに無干渉。声をかけたばかりの頃は逃げられ、彼女の親友を挟んだり、多少仲良くなったかと思った頃でも腕を伸ばしても届かない程度にあった距離がいつの間にかなくなっていた。というかむしろ彼女を見掛けると彼女から僕に近付いてくるようになっていた。彼女が近付いてくる様はまさに子犬みたいでしっぽでもあれば千切れんばかりに振られているだろうとか、野暮ったい前髪の下から時おり覗く目がなんだかキラキラしててマジ赤子さん超かわいいんだけど抱き締めておっぱいの感触を全面に感じたいとか思った。
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