プロローグ

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 しかし彼女の親友に「お前のこと、何か変な勘違いして赤子に付きまとうガチのストーカーと見てたけど話してみるとまともそうだし、しかも何気に善いやつそうだなストーカー」という正直な感想をいただいたことを思い出して自重する。過去の自分への反省と現在の自分の自重ゆえにその気持ちを行動に移しはしなかった。たぶんやってたら彼女は……この頃の彼女ならどうしただろう。もしかしたら受け入れてくれたかもしれない。そうだとしたら惜しいことをしたと思う。  その頃からはもう周りも囃し立てることもなくなってきたが、逆に野次馬根性か興味本意からか僕と彼女の関係について訊いてくるやつが増えていった。  それもそのはず今までコミュ障で地味な女の子だった彼女が僕と仲良くなったことでだんだんと周りへと打ち解けていったことで周りが彼女の性分を理解し、彼女の世話をやき始めていったのだ。元々の彼女の人徳……が生粋のコミュニティ障害の彼女にあったかは分からないが、周りの人間が良かったのだと思う。あと彼女の親友がぶっきらぼうながらも面倒見のいい人間だったために、周りとの間に立って緩衝材になってやってくれたのも大きいと思う。少なくとも僕には緩衝材の役割はかなり大きかった。  とにもかくにも、周りとも打ち解け始めた彼女はだんだんと可愛くなっていったのだ。  髪型を変え、衣服も垢抜け、化粧を覚え、と今まで彼女になかったものが与えられ吸収されていくにつれて彼女は変わっていったのだ。  可愛くなった。  地味で誰の目にも止まらなかった彼女が、明るくなり、誰の目にも可愛くなったことで彼女と今まで関係のなかったものでさえ彼女に惹かれるようになっていったのだ。  陰気だった彼女も、仲の良い友人が増えたおかげでとても明るくなった。  それは良い変化だと思った。  彼女にとっても、もちろん僕にとっても。
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