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彼女の変化に後悔なんてあるはずがないと思っていた。
変わることが、彼女が明るくなることが彼女にとって悪いことになるなんて夢にも思わなかった。
彼女があんなことになるまでは。
……僕の知らない三日間、たったの三日間、彼女に会わない日があった。
一日目、最初は風邪でもひいて連絡が取れないのかと思っていた。
二日目、彼女の親友から彼女が一人暮らしであると聞き、彼女の住むマンションに彼女の親友とともにお見舞いに行った。彼女の親友は「私はすぐに帰るから、優しくしてやれよ」なんて言いながら笑っていた。僕はそんな彼女の親友の言葉に苦笑を漏らすだけで、その言葉の意味を勝手に深読みして一人で恥ずかしい思いをしていた。
彼女の部屋に着くまでは。
彼女の部屋に入ると、
そこには、──首のない女の子が鎮座していた。
一瞬、それは美術品の類いかと思った。
しかしそれは首のない死体だった。
部屋の中にはそれ以外何もなかった。
それは身体にぴったりと貼り付くような、無駄な装飾など一切ない白いドレスに包まれていた。
白い手を許しでも乞うかのように掲げて組まれ、その手の中には一輪の花があった。
それは、凄惨な跡を、醜い断面を覆うように白いベールがその姿をぼやかして、より妖艶でいて艶かしい雰囲気を漂わせていた。
それは、心奪われる程に美しかった。
それから、
それからのことは──よく覚えていない。
彼女の親友の悲鳴で我に帰ったつもりで、でもどこか自分がその場にいたのかもあやふやで、まるでそれに心奪われたまま脱け殻の身体だけで行動してるみたいで。それを確認したら、指に僕が彼女にプレゼントしたネックレスが指輪のように巻かれていて、見れば見るほどに硬く冷たいそれが彼女にしか見えなくなって、それから、それから──
それは────
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