凌子

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そんな彼女の趣味は、ハイキングと温泉。 だから、それ迄ハイキングなんて、これっぽっちも興味の無かった私が、ハイキングの本を買ってデートはいつもハイキング。 勿論、近くに温泉のある所。 「凌子ちゃん」 「今度、渓谷沿いのハイキングコース歩いてみない?」 「川沿いだから、きっと涼しいんと違うかな?」 凌子ちゃんは、いつもの事だけど直ぐに返事はくれない。 「面白そうだけど?」 「又、連絡するから」 そこで、僕はダメ押しの一言。 「そこさぁ、何か美肌の湯の温泉が近くにあるんやて」 「源泉掛け流しみたいやし」 「そやから、行ってみよ」 そこ迄段取りして、やっと 「じゃあ、行ってみよかな」 そんな、会話が毎度の如く。 これが、惚れた弱みと言うものなのか? そしてハイキングに行ったとしても、凌子ちゃんはマイペース。 二人並んで歩くなんて、殆ど無い。 大体は、いつも私より二メートル後ろを歩いている。 凌子ちゃんによれば、私の歩調と合わないだけだと言うのだけれど。
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