終章 決戦マナグア攻防戦

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「エーン少佐より各位、宮殿屋上にヘリが着地する。攻撃を禁ずる」  それが何かを告げることなく結果のみを通知した。対空砲の使用を敵味方の航空戦力関係なく一時的に禁止してしまう、誤射を防ぐ意味では最も有効な手立てだろう。 「ロドリゲス少佐、北より戦闘攻撃機飛来!」  敢えて低空飛行をして地上の兵士を威嚇して回る。通過するたびに爆音と強風が吹き荒れた。果敢に攻撃した兵士がいたが、何とアメリカ空軍機はそれに対して反撃を行ったではないか。 「フーガ少佐、米軍機が敵に攻撃した。どうなっている」  苛立ちを覚えたようで、介入する米軍に批判的な口調であった。 「――防御行動の延長だとパイロットは言っている。公式には米軍の攻撃は確認されていない」  少なくともずっとそうであったように、事実が世界に広げられても認めることは無い。馬鹿にされていると感じたが、自国がこのような状況でだれが悠長に抗議をするだろうか。  地上からの攻撃が見られなくなり、数分でそれは現れた。宮殿の屋上にホバリングする大型ヘリ、ロープを投下するとするすると兵が降りていく。
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