第1章

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いったいどれくらいそうしていただろう。 おれは意を決して祐子に向き直ると、思い切り唇を重ね合わせた。 祐子は一瞬躊躇したが、何かをふっきるように強く唇を押しつけてきた。 ふたりは長い間唇を吸いあった。こんなことをしたのは初めてだった。 「ねえ、ほんとにどうしたの?」 祐子はおれの目をのぞきこむように聞いた。 おれは祐子からすこし身を離すと、深く息を吸い込んだ。 「祐子、お願いがある」 黒い泉のような祐子の瞳を見つめながらおれは言った。 「今ここで、おれとセックスしてくれ」 「え?」きょとんとした後に、祐子は小さく笑った。 「俊くん、変だよ」 答えようがなかった。 「ダメか?」 祐子は長い髪をしばらく触っていた。 沈黙のあと、やがて祐子は口を開いた。 「……いいよ」祐子はうなずいた。 「きっと今日じゃなきゃいけないんだね」 「理由は聞かないの?」 「うん、いいの」
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