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……おまえは、3時間後に、死ぬ……
まだ日差しのなかに暑さの残る、9月の休日のことだった。
おれは朝から人気のない公園のベンチに座り、ぼんやりとしていた。
そんな時、声が聞こえた。低く、冷たい声。
確かにおれに向かって発していたようだった。
おれが、死ぬ?
顔を上げると、おれの目の前に闇が立っていた。
体つきは人間のそれに似ていたが、見上げるほど大きかった。
上から下まで全身黒ずくめの衣服に身を包み、肩には鎌を担いでいる。
顔は影に隠れていたが、目だけが異様に光っていた。
どう見ても、死神しか見えなかった。
声の主はこいつらしかった。
「あんた、死神か」
我ながら間抜けな問いかけだった。
「……ご名答」
金属のすり切れるようないやな声だった。
「……おまえは、3時間後に、死ぬ」
死神はもう一度、そう言った。
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