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「まだ死ぬ気はないんだけどね」
からからに乾いたのどから、おれは声を絞り出す。
「残念ながら、おまえの死は決定事項。変更は不可だ……」
3時間後か、腕時計の針は午前11時を指していた。
「死因は?」
「いえない」
死神は木の枝の様な指をおれに差し向けると言った。
「ただし、ひとつだけおまえの望みを叶えてやろう」
「なぜ、死ぬとわかっている人間の望みをかなえる?」
おれは死神に聞いた。
「この世にいろいろと未練を残されると困るのでね。それに望みを叶えてやることは私にとってもいいものだ」
「死神にも慈悲心があるとはね」
死神は頬を歪めた。たぶん微笑んだつもりなのだろう。
「……タイムリミットは3時間。望みはひとつだ」
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