第1章

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ちょうど一カ月前。 休みのたびに会うことにしていたおれたちは、その日もいつもの場所で会うことにしていた。 交差点の一角にある休憩スペース。大きな銀杏の木の下が待ち合わせ場所だった。 先についたおれは、通りの向こうの人の流れに目をこらしていた。 日差しが強い日だった。 通りの向こうで信号待ちしている人のなかに祐子を見つけた。 おれは手を振った。 「俊くん」 おれに気づくと、祐子は横断歩道を足早に駆けてきた。 そのとき、轟音とともに視界をなにかが横切った。 時速100キロ近い鉄の塊、暴走したワンボックスカーだった。 そいつは信号を無視して歩道に飛び込むと、祐子の身体に激突した。 目の前の光景が激しくゆがんだ。何が起こったのか理解できなかった。 祐子の華奢な肉体は道路の上に投げ出され、不自然な形に横たわった。大量の血がアスファルトへと流れ出た。 おれは、あらんかぎりの叫びをあげた。祐子へと駆け寄り、体に取りすがった。 つい数秒前まで生きていた祐子は、無残な肉の塊と化した。 おれは気が狂ったように叫んだ。 声が涸れはてるまで獣のように叫び続けた。
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