第1章

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いつのまにか眠っていたようだった。 ベンチから身を起こすと、まるで時間が止まったように、物音がまったくしなかった。 おれはのろのろと立ち上がり、ゆっくり公園から街へと歩いていった。 様子が明らかにおかしかった。 人一人、いや車一台すら存在しなかった。 街全体が色を失い、巨大な牢獄のように静かだった。 「夢……? いや、まさか」 おれは小走りに駆けながら、周囲を見回した。 完全な沈黙が街を支配していた。 この世界のなかで、動いているのはおれだけのようだった。 死神は望みを叶えるといっていた。 この世界はなんだろう。 本当に俺だけしかいないのか? 祐子。脳裏に彼女の顔が浮かんだ。 行こう、祐子のいる街へ。 おれは走った。無我夢中で走った。
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