書きかけの原稿

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  かくして軍部の後ろ盾を得た血液型診断は日本の中に根付き……それを研究する者も次第に増えていく事になる。 やがて古川竹二(ふるかわ たけじ)という心理学者が「血液型による気質の研究」という論文を1927年に発表し…… 一気にそれは世間にまで知られていく事になるのだった。 ーーこうして文章だけにしてみるとあっけない。 しかし差別とはこうした些細なエゴから始まり――それに様々な思惑が絡む事で大きくなるものだ。 ましてそれは軍部――すなわち「暴力的な権力」が絡むと笑い飛ばせないほどに巨大化する。 それが未来の目から見て、どれほど馬鹿馬鹿しいものであっても。 お分かりいただけただろうか? いまだ血液型診断にこだわっている人は、つまりーー ヒトラーの亡霊に踊らされている人、という事になるだろう。 実にくだらない。 だが――実を言うと、この話には……まだ続きがある。 血液型の優性と劣性。 実はそれを研究している場所が現代の日本にもあるというのだ。 いや、正確に言うならば研究を続けてきた……と言えるかもしれない。 その研究室は伝え聞いた話によると戦時から存在していたという。  
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