23人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん強い!」
感嘆したように少年。
見ていた村人たちもホッとした顔だ。
叩きのめされたゴロツキも、でかい顔して迷惑をかける二人組である。村人たちの溜飲も下がったかもしれない。
「いいか、これは君が悪いんだからな」
H・Hは少し怒ったような表情を作り、少年に言う。
「あー……痛たたた……」
「本当にこの仕事辛いわー」
立ち上がる、怖そうな男AB。
「次の現場いくかー」
「はい、やられ役も大変ですね」
怖そうな男ABは立ち去る。
「……お疲れ様でした」
H・Hは背後から声をかけ見送った。仕事はなんでも大変です。
やられ役派遣……謎のフレーズがH・Hの頭に横切った。
「だって、お金欲しいんだもん」
少年は言う。
「だから、スリはダメだって! というか財布を返しなさい!」
H・Hは言う。
「うん」
少年は素直に財布を返した。
「君、お家どこ?」
H・Hは聞く。親にどんな教育してんだよ、と言うつもりであった。
「東の通り」
答える少年。
「よし、案内しなさい」
H・Hは少年の手を握った。逃さないためである。
最初のコメントを投稿しよう!