第1章

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「お兄ちゃん強い!」  感嘆したように少年。  見ていた村人たちもホッとした顔だ。  叩きのめされたゴロツキも、でかい顔して迷惑をかける二人組である。村人たちの溜飲も下がったかもしれない。 「いいか、これは君が悪いんだからな」  H・Hは少し怒ったような表情を作り、少年に言う。 「あー……痛たたた……」 「本当にこの仕事辛いわー」  立ち上がる、怖そうな男AB。 「次の現場いくかー」 「はい、やられ役も大変ですね」  怖そうな男ABは立ち去る。 「……お疲れ様でした」  H・Hは背後から声をかけ見送った。仕事はなんでも大変です。  やられ役派遣……謎のフレーズがH・Hの頭に横切った。 「だって、お金欲しいんだもん」  少年は言う。 「だから、スリはダメだって! というか財布を返しなさい!」  H・Hは言う。 「うん」  少年は素直に財布を返した。 「君、お家どこ?」  H・Hは聞く。親にどんな教育してんだよ、と言うつもりであった。 「東の通り」  答える少年。 「よし、案内しなさい」  H・Hは少年の手を握った。逃さないためである。
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