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「ところで君の名前は?」
道中、H・Hは少年に質問する。
「テリーって名前。お兄ちゃんは?」
「私はH・H。ところで、お母さんとかいる?」
「お母さんはいるよー」
よし、その母親にも説教だ。H・Hは決めた。
「でも、お父さんはいないけど」
「あれ、母親だけ?」
H・Hは思った。うわー案の定、わけあり家族だよ。と。
「しかしな……」
考える。自分から財布をスリとった少年。何か才能を感じる。お話の中だと、こういう少年は将来有望そうに見えたりする。
「お父さんはどうしたの?」
「魔族と戦って死んだんだって。村の為に命をかけて戦ったんだ! お母さんはお父さんを誇りに思いなさいっていつも言ってる」
「そうか……」
そういう両親を持っているならテリー君も、根っこはいい子かもしれない。これは、ますますしつけをしなきゃ。
「お母さんが一人で君を養ってるのかな」
「うん。でも本当のお母さんじゃなく、オレを拾って育ててくれたんだ」
「あ、そうなんだ」
両親の血は継いでないのか。拍子抜けする。
しかし、いかにも子供って立場利用してるな。H・Hは胸で呟く。
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