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四月……それは桜の季節
四月……それは出逢いの季節
四月……それは始まりの……あ、前置き要らない?じゃあ巻いていきまーす
「行ってきまーす!」
私は学生鞄を引っ提げて、勢いよく家を飛び出した
オイッス!今日から高校一年生になった葵優子だよ!ちょっと挨拶が古い?これは日本人共通のれっきとした挨拶だから良いんだよ!夜八時限定だけど
そんな事より今日は四月一日!私が今日から通う高校『私立周防院高等学校』の入学式なの!
私立周防院高等学校は、周防院っていう人が作った私立高校で、私の住む街では一番大きな高校。因みに敷地面積は東京ドーム十個分以上に相当する……らしいよ?パンフレット読んだから間違いない!
科は他の高校の何倍もの数が有って、普通科や工業科とかの大体考え付く学科からちょっとマニアックな学科まで盛り沢山!まぁ、私は普通に普通科なんだけどね
「急げ急げーッ!」
で、そんな高校に通う事になった私は入学式早々から朝寝坊!ちゃんと目覚しセットしたんだけど二度寝しちゃって……テヘッ
なんてあざとい事してる場合じゃない!急がないと遅刻しちゃう!これじゃあ、生徒会に入ろうなんて夢のまた夢だよ!
えっ?生徒会に入るのかって?勿論!私は高校に入ったら、生徒会に入って輝かしい高校デビューを飾るという野望があるのだ!
でも入学式早々に遅刻なんて、そんなの絶対にあってはいけないの!輝かしい高校デビューの為に、私は走る!
「ひぃ……ひぃ……もうちょっとで……学校だぁ……」
走ること数十分。漸く学校の大きな校門が見えてきた
でも足を止める訳にはいかない。何故なら今にもジャージを着た体育会系の先生らしき人が、登校時間を過ぎたからか校門を閉めようとしていたのだ
私はひたすらに走る!ただひたすらに!野望成就の為に!
でも、現実は非情である
「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
私が必死に叫んだ甲斐も虚しく、寸前の所で低い金属音と共に閉められてしまった
「あ……あぅぁぅぁ~……」
「ん?何だお前、遅刻か?入学式早々とは、なんとも気合いの入っていない奴だ」
無情にも閉められた校門に縋り付く私に、校門を閉めた体育会系の先生が呆れた表情で見下ろす
終わった……私の野望が……
……いや!まだ終わらない!
「先生!遅刻を見逃して下さい!」
「ダメだ」
世の中世知辛いッ!
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