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彼女自身は欠席できない状況らしい。それには同情の念を禁じ得ない。 「費用は、わたしが持つよ」 本当に、嫌なんだな……。 彼女の目を見て、分かった、と僕は答えた。 「参加費はちゃんと出す。代わりに、僕の隣に座ってくれるなら」 「分かってる。ありがとう」 世の中には、要らないんじゃないかと思うものがたくさんあって。時々まとめて捨ててしまいたくなるが。 その中にごく稀に素敵なものが混じっていたりするので、捨てることができない。 微笑む彼女の白い八重歯を見て、そういうこともある、と僕は思った。
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