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後は鳴海さんと二人で、空気のように大人しくしていよう。 これでよし、と小さく息を吐き出した、そのときだった。 「あれ、穂高も来てたんだ?」 僕の計画が、たった一秒で終わった。 「……黒川さん」 諦めと共に僕は腰を上げ、お疲れさまです、と挨拶をした。彼は今年度からうちの課に異動になったひとで、僕より二年先輩で。 残念ながら、僕はこのひとが苦手だった。 「お疲れ」 彼はそのまま、僕の右隣に腰を下ろした。 「お疲れさまです」 鳴海さんも、僕の陰から挨拶をする。 「お疲れさま。えっと……」 「税務会計課の、鳴海です。穂高君とは同期で」 「へえ、そうなんだ」 黒川さんは、彼女と僕とを交互に見て。 「二人は、付き合ってんの?」 唇を歪めて笑った。
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