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新着メール一件。
フォルダを開くと、短い文章が届いていた。
『今日は、八時に帰る』
しばらく仕事で忙しくしていた相手からの連絡に。
不意に、頬が緩む。
「何見てんの?」
「……っ」
反射的に、携帯ごと腕を下ろして。
僕は声のした方を振り返った。
「彼女から?」
「……いえ。そんなんじゃないですよ」
恋人からではあるけれど、彼女からではない。
自分の恋人が同性であるということを、職場で公言する気はなかった。
「そ?」
「じゃあ、僕はこれで。お先に失礼します」
一礼して、僕はその場を後にした。
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