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彼との最初の接点は、金銭だった。 僕は彼から三十六万円を受け取り、三十六万円分だけ、彼のものになって。 強引で優しい王様に仕えるうちに、初めて人を好きになった。 自分のものにはならないだろうと思うと、苦しくて、切なかった。 たったひとりの大切なひとが、自分の全てを受け入れてくれるだなんて、そんなの夢物語だと思っていた。 しかし今僕は、夢みたいな現実の中にいる。
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