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背筋がぞくっとするのを感じて、一歩後ろに下がると。さっき、と彼は甘い声で言った。 「俺の名前呼んでたの、気付いてる?」 「え……?」 「こんなところで無防備に横になって、誘うように名前を口にして。襲われても、仕方ないと思わないか?」 「……っ」 戸惑う僕を見て。 綺麗にシニカルに、笑う。 少しずつ、出会った頃の彼の年齢に近付いていっているはずなのに。おそらく自分は、このひとのようには一生なれないんだろうなと思う。 「いのり、おいで」 声で、目で、相手を従わせる。 絶対的な僕の王。 その激しい熱に灼かれ、僕は意識を手放した。
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