プロローグ

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なんだか眩しくて重たい目蓋を開けると、目に蛍光灯の明かりが差し込んできた。ぼんやりとした意識の中ゆっくり起き上がる。視界一面には生活感のある部屋があった。 どこだここ。 寝起きのよく回らない頭でここがどこなのか考えるが、起き上がる前までの記憶が全くないので断念。 そこで部屋全体を見渡してみる。 8畳半くらいの一般的な広さを持つこの部屋には、何ら特徴のある物は置かれていない。床にはDVDや大型ゲーム機、漫画の単行本や雑誌が散らばっていて足場が少ない。 部屋の扉のすぐ横にはタンスとクローゼットがあり、ここに誰かが住んでいた、もしくは住んでいるということがわかる。 そして、今自分が使用しているシングルサイズのベッド。 その真横に取り付けられたカーテンの隙間からは、透明感のある光が差し込んできて、1日の始まりを感じさせられるのと同時に、何か懐かしさを感じる。 答えは簡単だった。自分の部屋だった。 ここ半年友達の家に泊まりっぱなしで家に帰ってなかったからわからなかった。 ここで昨日の記憶が徐々に甦ってくる。 ハッとして、ケータイの時刻を見ると、8:10と表示されている。 やばい。遅刻だ。
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