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神崎闇。
名前は普通にヤミと読む。
高校二年生の地味で目立たないとてつもなく暗い私。
「あれ、神崎さんいたの?」
「神崎さん存在感ないからわっかんないよねー」
そして周りに気づかれないくらい存在が薄くて……好きでこうなったわけじゃないのに。
小学生時代はこうではなかった。
まだ普通に明るく普通に会話する子だったのに名前が闇ってだけで男女にいじめられ……神崎は闇の魔王の家臣なんだとかなんとか。
今に思えば可愛らしいものだったな……ただ仲間外れにされたり話しかけても無視されたりそんな毎日。
中学では引きこもりがちになりいつしかアニメの道へ。
アニメのキャラクターはみんな魅力的でみんな優しい。
だが現実では変わりなく無視、仲間外れ、と……まだ殴られたりしないだけいいが多分いじめというより私が暗すぎて誰も近づけないだけなのだろう。
「でも今さら明るいキャラなんて……」
「おーい神崎、俺の声聞こえてっか?」
私がぼーっと昔のことを思い出しているうちに先生が教室に来たようだった。
たまに自分の世界に入る私はすぐに周りのことが見えなくなるが、さほど問題はない。
学校で話しかけてくるのだなんて先生くらいですし。
前を向いてちゃんと先生の声が聞こえていると返事をするように頷くと朝のホームルームが始まった。
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