第九章

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「え、でも姫だよな? 黒木が惚れ込んだ孤独な姫」 「いや、黒木が惚れた絶世の美女って聞いたぞ」 「俺は余命一週間の姫って……」 三人揃って全部私に合ってない。 孤独じゃないし……孤立してるだけで孤独じゃないもん。 三人の不良さんの横を通り過ぎようとすれば当たり前のように手を掴んできたので思いっきり払いのけた。 ここで黒木さんのようなセリフを吐けたらいいが私は逃げるのが得意ですのでそんなこと言えません。 「不良さん方の世界はよくわかりませんが……仮に私が黒木さんの女だとして何かあるんですか?」 「見物だよ。気になんだろあの黒木が女作るってさ」 私は珍獣か。 別に珍しいものじゃないもん。 黒木さんの特別ってわけじゃないし…… 特別じゃ……ないもんね。  
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