第九章

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「久しぶりだね闇」 「……どちら様?」 「ここはさ、もしかして……ってこと言ってほしかったけど、いいや」 ぱっと見、自由な人っぽい雰囲気。 すぐにいいや、なんて使うなんて追求するのもめんどくさいといったようなものだ。 嫌いではないタイプですが、乙女ゲーならちょっと面白そうな大して期待もされない攻略対象キャラのようなものだね。 「話聞いてよ……透だよ覚えてない?」 「透……え、そんな名前の知り合いなんていな……あ、透お兄様ですか。これはこれはご無沙汰」 「今忘れてたよね。ちょっと闇、冷たくない?」 「なんていうか……この突然現れる幼なじみっ……みたいなものに慣れまして。うん、狭い世の中だしいつかは再会できると信じてましたよはい」 内心、結構驚いていますがなんていうか薄っぺらい再会だなと我ながら思った。 もっと本当に透お兄様なのーみたいな感動や驚きがあってもいいのに、ゲームとは違って懐かしい人に再会すると薄っぺらい対応しかできないようです。 やはり現実は儚い。  
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